
冷え症にも関係する鉄分不足! 貧血の方向け温活フーズ
体がだるくて、疲れがとれない。少し階段をのぼるだけで息切れがする。暑いのに手足は冷えてつらい・・・。夏バテのようなその不調は、もしかしたら鉄分不足によるものかもしれません。今回は、鉄分について、その役割や上手な摂取方法などをご紹介します。
鉄分が不足すると冷えにも影響がある
鉄分は必須ミネラルのひとつで、ヘモグロビンを構成する成分です。ヘモグロビンは鉄を含む「ヘム」とたんぱく質の「グロビン」が結びついたもので、赤血球中に含まれ、全身へ酸素を運ぶ大切なはたらきを持っています。鉄分が不足するとヘモグロビンの合成が低下し貧血を起こします。貧血になると全身に十分な酸素が行き渡らなくなるため、体にさまざまな不調があらわれるのです。
貧血による症状には、疲れやすい、顔色が悪い、階段で息切れがする、爪が弱くなって白っぽく見えるなどいろいろありますが、実は手足の冷えも鉄分不足による貧血が原因となることがあるんです! 体のすみずみまで酸素が届かないと、細胞で熱を生み出す力が弱くなり、冷えの原因に。先ほどあげた症状のうちいくつか思い当たるなら、鉄分不足の可能性があります。鉄は体内で作ることができないので、食事から補給することが必要です。
鉄分は女性に大切なもの
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、女性の場合、1日に必要な鉄分の摂取量は、月経の有無や妊娠期・授乳期によって異なります。日本人成人女性(18~49歳)が1日の食事から摂取する鉄分の量は、月経のない女性では6.5mg、月経のある女性では10.5mgが推奨されています。
とくに生理中はより多くの鉄分を失いやすく、鉄分不足になりやすいため、いつもより多く摂るよう心がけましょう。

※1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より
鉄分の上手な摂り方
食品に含まれる鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。
主に動物性食品に含まれるヘム鉄は、レバー、赤身の肉、シジミ、アサリ、カツオなどに多く含まれます。吸収率が良く、鉄分を摂取しやすいのが特長です。焼き鳥を選ぶときに1本はレバーにしたり、野菜炒めのお肉をレバーにしたり、いつもの食事にアサリやシジミの味噌汁やクラムチャウダーをプラスしたりして、日々の食事に上手に取り入れていきましょう。
主に植物性食品や卵・乳製品に含まれる非ヘム鉄は、ホウレン草、小松菜、卵、大豆、枝豆などに多く含まれます。レバーや貝が苦手な人や、肉を敬遠しがちな人でも、ごはんに納豆をかけたり、おつまみをゆで枝豆にしたりするなどで、手軽に摂取できます。非ヘム鉄は、腸で吸収される割合が摂取量の1割以下と低いのですが、たんぱく質やビタミンCといっしょに摂ると吸収率が高まります。納豆ごはんに半熟卵を追加したり、オムレツや卵焼きなどの卵料理を作るときに、ホウレン草や小松菜、枝豆を加えるなどのひと工夫で吸収率をアップさせましょう。
ヘム鉄
【身近な食品の例】
レバー、赤身の肉、シジミ、アサリ、カツオなど。
【特徴】
- 主に肉や魚などの動物性食品に含まれる。
- 非ヘム鉄より吸収率が高い。
【手軽なメニュー例】

<レバーの焼き鳥>
- 鶏レバー(生100g)に含まれる鉄分は9.0mg※2
- 1本分の鉄分量は鶏レバー30gの場合で約2.7mg※2

<シジミの味噌汁>
- シジミ(生100g)に含まれる鉄分は8.3mg※2
- 1食分の鉄分量はシジミ30gの場合で約2.5mg※2

<レバー野菜炒め>
- 豚レバー(生100g)に含まれる鉄分は13.0mg※2
- 1食分の鉄分量は豚レバー50gの場合で約6.5mg※2

<クラムチャウダー>
- アサリ(生100g)に含まれる鉄分は3.8mg※2
- 1食分の鉄分量はアサリ50gの場合で約1.9mg※2
非ヘム鉄
【身近な食品の例】
ホウレン草、小松菜、卵、大豆、枝豆など。
【特徴】
- 主に植物性食品や卵・乳製品に含まれる。
- たんぱく質やビタミンCといっしょに摂ると吸収率が高まる。
【手軽なメニュー例】

<納豆ごはん>
- 納豆(100g)に含まれる鉄分は3.3mg※2
- 1食分の鉄分量は納豆1パック50gの場合で約1.7mg※2

<ゆで枝豆>
- 枝豆(ゆで100g)に含まれる鉄分は2.5mg※2
- 1食分の鉄分量は40さや50gの場合で約1.3mg※2

<ホウレン草のオムレツ>
- ホウレン草(生100g)に含まれる鉄分は2.0mg※2
- 卵(全卵・生100g)に含まれる鉄分は2.2mg※2
- 1食分の鉄分量はホウレン草50g、卵2個120gの場合で3.6mg※2
※2 日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用。値は可食部100g当たりに含まれる成分を表す。