2020.09.01

養生のすすめ

冷え性

自分の冷え症のタイプを知ろう!冷え症の原因・症状・改善

冬は当然冷え症がつらい季節ですが、実は夏も冷房や冷たい飲食物などで、体は冷えやすく、体調も崩しやすい季節です。今回は一年を通して冷えの原因と症状、その改善方法について、まとめてみました。

冷え症の原因・メカニズム

冷え症とは

「ひえしょう」には、「冷え性」と「冷え症」の2通りの表現があります。 体が冷えやすい「体質」のことを総称して「冷え性」といいます。その中の症状として 「冷え症」があるのです。 一般的に西洋医学では「冷え症」は治療の対象としていませんが、漢方医学では治療の対象としています。 また、冷え性(冷え体質)は「冷え症」のほかに、月経痛、月経不順、頭痛などを引き起こす原因と言われています。

冷え症のメカニズム

冷え症には、自律神経による体温調節が深くかかわっています。体は体温調節のしくみがうまくはたらいていないと、冷えた状態になります。体温調節は、脳の視床下部にある体温調節中枢が司令塔となり、熱の産生や放散を増減することで行われています。たとえば体が寒さを感じると、体温中枢は自律神経に指令を送り、皮膚の表面から熱を外に逃がさないようにし、必要以上に体温を下げないようにします。このとき、皮膚の毛細血管を細くして、血流を減らすことで、皮膚表面からの熱の放散を少なくしているのです。夏場にエアコンの冷たい風に長時間さらされた場合も同じ現象がおこります。

真夏や真冬は、空調のきいた室内と外気温の差が大きくなりがちです。体は、温度差に対応して、体温を一定に保つためにひんぱんに熱の産生と、放散、放散の抑制を繰り返さなければなりません。これにより、自律神経に負担がかかり、体温調節のしくみが正常にはたらかず、体の表面の毛細血管が過度に収縮し、血流量が必要以上に減少することがあります。普通の人が寒いと感じない温度でも冷えを感じやすくなります。

冷え症タイプごとの対策とおすすめの漢方薬

同じ冷え症でも、冷えのタイプや症状はさまざまです。冷えている感覚が少しでもある方は、ご自身の感覚が、次のどのタイプにあてはまるかを確認してみてください。

全身が冷えるタイプ「全身型」

体内の熱生産が低下し、新陳代謝が低下。その結果、全身が冷えるタイプ。食欲や気力が失われ、疲労感や倦怠感が生じます。長年の冷えにより、手足も内臓も冷えています。

生活改善のポイント

手足が冷えるタイプ「四肢末端型」

手足の先まで血液が循環しないことから、手足に冷えを感じるタイプ。10~20代女性に最も多く、疲労や無理なダイエットが背景にある可能性があります。しもやけや立ちくらみ、ニキビ、月経トラブルが起こりがちです。筋肉量も低下しています。

生活改善のポイント

上半身は熱いが下半身が冷えるタイプ「上熱下寒型」

気や血のめぐりが悪く、滞った状態で上半身がのぼせて、下半身が冷えるタイプ。顔のほてりで冷えとは気づきにくいため注意が必要です。イライラ、頭痛、顔のほてり、肩こり、肌荒れのほか、月経トラブルや便秘が起こることもあります。

生活改善のポイント

ストレスで冷えるタイプ「体感異常型」

ストレスで自律神経に影響が出て、血流が悪くなり冷えを感じるタイプ。疲れているのに眠れない、集中力がなくイライラする、食欲不振、胃痛、息が吐きづらいなどの症状が見られます。

生活改善のポイント

各部位の症状に冷えがかかわるタイプ「症候型」

頭痛や腰痛、肩こり、アレルギーなどの具体的な症状があり、それらの不調の裏に冷えがかかわっているタイプ。

生活改善のポイント

監修:岡村麻子先生
かしわの葉レディースクリニック 院長
東邦大学薬学部 客員講師
日本産科婦人科学会 専門医・指導医
日本女性医学学会 専門医・指導医
日本東洋医学会 漢方専門医・指導医

冷え症の改善方法

適度な運動をする

筋肉を動かすときにはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーが使われる際に熱が発生します。体熱の多くが筋肉によって作り出されるため、筋肉が増えると冷えにくい体になります。さらに、筋肉は収縮することによって血液を循環させるポンプの役割を果たしているので、筋肉が増えると血流が良くなります。一方で脂肪は一度冷えると温まりにくい性質をもっているので、男性に比べて筋肉が少なく、脂肪がつきやすい女性は冷え症になりやすいといわれています。

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入浴をする

体を温める基本の入浴法は、ぬるま湯&ゆったり。38~40℃のぬるめのお湯に10分以上、できれば30分程度つかりましょう。ゆったり入浴することで副交感神経が優位になり、リラックス効果も深まります。さらに温まりたい人は、入浴前に軽い筋肉運動、入浴後にストレッチを行うと良いでしょう。

下半身を重点的に温めたいときは、40℃以下のぬるめのお湯に、みぞおちあたりまでお湯に浸かる半身浴がおすすめ。20分以上浸かることでじわじわと汗をかき、子宮や卵巣のある下半身を集中的に温めることができます。こうして下半身を温めたあと、湯船から上がる前に、「熱い」と感じる温度まで追い炊き(or足し湯)をすると、体温を逃さず、湯冷めしにくくなります。

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体を冷やさない食べ方・飲み方

暑いときや、のどがかわいたときは、ついつい冷たいものが飲みたくなりますよね。でも、ぽかぽか美人にとって冷たい飲み物は、基本的にNG。冷えを遠ざけるには、常温もしくは温かい飲み物をこまめにとることが大切です。冷たいものを飲んでしまったときは、そのあと意識的に温かいものを飲み、一日の中でバランスをとるように心がけましょう。

冷えに負けない体をつくるには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。バランスの良い食事とは、適正なエネルギー量で、体に必要な栄養素を十分に摂取できる食事のことです。基本となる栄養素である、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルのほか、食物繊維なども必要です。肉や魚介、豆類、卵からたんぱく質や脂質を、野菜やキノコ、海藻などからビタミンやミネラル、食物繊維を、そして主食のごはんやパンから糖質を摂取します。1日の食事でさまざまな食材を組み合わせて、これらの栄養素を摂るよう心がけましょう。

ランチのメニューで迷ったら丼ものや麺類ではなく、定食がおすすめ。献立は主菜1品+副菜1~2品、または主菜1品+副菜1品+汁物1品にすると、自然とバランスをとることができます。

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「食性」を知ることで温める力をアップできます。「食性」とは、体を温める、体の熱を冷ますといった、食べ物がもつ性質のこと。熱性・温性は冷えやすい人向き、体の熱を冷ます涼性・寒性はほてりやすい人向き、どちらにも偏らない平性は、どんな体質の人にも向いています。

寒くなると、鍋やスープなど温かいものが食べたくなりますよね。温かい鍋やスープの食材としては、白菜やキャベツが定番ですが、これらは、実は体の熱を冷ます野菜に属します。東洋医学では、土の中で育つジャガイモなどの根菜類やネギ・ショウガなどが体を温める食べ物、土の上で育つ白菜、キャベツなどの野菜は体を冷やす食べ物という見分け方をします。冷えない体を作るには、外から温めるだけでなく、食べ物の性質を知っておくことも大切です。


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ツボを押す

冷えがつらいときは、「三陰交(さんいんこう)」という足の内側にあるツボを刺激するとよいでしょう。足だけではなく体全体が冷えているときにも効果的です。くるぶしの骨の一番上から指4本分上、すねの骨のすぐ後ろ。押したときに、軽い痛みを感じるところが「三陰交」です。
左右の親指を重ねて、少し痛いぐらいに押します。息を吐きながら数秒押し、1回3~5秒ぐらいを目安にし、1カ所につき3~5回ほど繰り返してください。

夏の冷え症とその対処法

夏の冷え症

夏の冷えやすい場面では、自分で体を冷やさないように心がけることが大切です。「通勤電車やオフィスの冷房が寒い」という女性は多く、上着やストールで冷え対策をしている方も見かけます。このように冷えの自覚がある方はまだいいのですが、心配なのは自覚のない隠れ冷え症さんです。暑いからといって冷房での冷やし過ぎはNG。そのうえ、冷たい飲み物ばかりを飲んでいると、胃や腸など冷やしてしまいます。お腹を触ってみて、冷たいと感じたら胃腸が冷えているサインかもしれません。過剰に胃や腸を冷やしてしまうと消化機能が落ち、栄養素をしっかりとることができず、夏バテを引き起こす原因にもなります。

夏の冷え症におすすめの食べ物

旬の食べ物は、その季節に起こりやすい不調を防ぐといわれており、夏なら「夏バテ」を防ぐものが多くなっています。

冷え症さんが体を冷やす食べ物を避けることは理にかなっていますが、こだわり過ぎる必要はありません。漢方の考え方では、体内に熱をこもりにくくするためには、旬の食べ物を適度に摂りながら、体を暑さに慣らしていくのも季節に合った食養生としておすすめです

夏の冷え症に負けない体をつくるには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。バランスの良い食事とは、適正なエネルギー量で、体に必要な栄養素を十分に摂取できる食事のことです。献立を主菜1品+副菜1~2品、または主菜1品+副菜1品+汁物1品にすると、自然に栄養のバランスがとりやすくなるんですよ。外食するときも、コンビニでお弁当を買うときも、この献立ルールをできるだけ意識してみてください。