2020.12.01

漢方ブログ

ダイエットの前に知ってほしいこと

ダイエットに取り組んでも、なかなか成功しない・・・と悩む女性は多いですよね。そこで、ダイエットの前に知って欲しいのが、「どうして肥満が起こるのか」ということ。太りやすさは「とり過ぎるタイプ」と「溜め込むタイプ」など人によって違います。そのため、それぞれの体質に合った「肥満」の改善方法を知ることで、すっきりとした健康的な体型を目指しましょう。

肥満とは

肥満(太っている状態)とは、大きく分けて、食べる量が多い「とり過ぎるタイプ」か、食べた物を体内でうまく利用できない、あるいは排出できない「溜め込むタイプ」のどちらかだと考えられます。もちろん両方のタイプが絡み合ってより太りやすくなっていることもあります。健康的な体型を目指すには、原因を知って、それぞれの体質に合った改善方法を取り入れることが大切です。

肥満の原因

肥満の原因は、生活習慣が問題になっていることがよくあります。たとえば「摂取するエネルギー」が「消費するエネルギー」を上回れば、脂肪が増え、体重が増加するのは当然のこと。なかなかやせないという方について、まず原因を追求してみましょう。

食べ過ぎと食事の偏り

よく食べてもよく動く人は、太りにくいといわれています。しかし、カロリーオーバーの状態が続くと、太りやすくなりますので、食事内容の改善が必要です。太りやすい人の食生活は、炭水化物や脂質などが多く含まれる高カロリー食を多く摂りがち。また、夕食は就寝直前になるという生活パターンでは、カロリーの使い道がなく、余った分が内臓脂肪として溜まってしまうのです。

便秘

便秘は腸のはたらきが低下しているサイン。体に不要なものを溜め込むことで、体重の増加につながるだけでなく、悪玉菌が増加し、おなかの張りや肌あれなど、さまざまな不調にもつながります。

運動不足

運動不足の状態が続くと、消費するエネルギーが少ないため、食べる量が減らない限り、太りやすくなります。食べたものをエネルギーに変えるのに、重要な役割を担うのが筋肉。筋肉量が多いほど基礎代謝量は増し、体の中の余分な糖や脂肪がどんどん燃焼されます。デスクワークや在宅勤務が続くと、どうしても運動不足に陥り、筋肉量が減るため太りやすくなります。

代謝機能の低下

食べる量は変わらないのに、年齢とともに脂肪がつきやすくなってきたと感じる人は多いと思います。その理由のひとつは、基礎代謝の低下です。基礎代謝とは、呼吸をしたり、体温を作り出したりするなど、生きていくのに必要なエネルギーのこと。寝ている間も心臓が動いて生きている限り、基礎代謝は行われています。しかし、基礎代謝量は、男性では18歳、女性では15歳前後をピークにどんどん減少するといわれています。そのため、若い頃と同じ量を食べ、同じように活動していては、消費するエネルギーが少なくなっているので、太りやすくなってしまうのです。

ホルモンバランスの乱れ

女性の肥満には女性ホルモンが大きく関係します。女性ホルモンのエストロゲンには脂肪の蓄積を抑えるはたらきがありますが、更年期に入る40代を境にエストロゲンの減少が始まり、基礎代謝量が減少します。更年期に限らず、20~30代の女性でも、生理周期によって、太りやすい時期があるのもエストロゲンの増減が関係しているんですよ。

冷えによる影響

慢性的に体が冷えていると血流が悪くなり、代謝機能が低下します。さらに、基礎代謝が低下すると体が熱を産生するはたらきも低下するため、ますます冷えるという悪循環に陥ってしまうのです。漢方の考えからみる「太る」とは、余分なものを体に溜め込んでいる状態のことです。体が冷えると、体を維持するための3要素「気・血・水」のめぐりが悪くなり、体の外に余分なものを排出する力が落ちてしまい、太りやすくなると考えます。とくに、冷え症の場合、「水」が偏ったり滞ったりすることで「水太り」という状態が起こりやすくなります。

あなたの太りやすさはどっちのタイプ?

まずは、ご自身が、食べる量が多い「とり過ぎるタイプ」か、食べた物を体内でうまく利用できない、あるいは排出できない「溜め込むタイプ」のどちらに近いか考えてみてください。

とり過ぎるタイプには、こんな人が当てはまります。

溜め込むタイプには、こんな人が当てはまります。

日常生活での対処法は?

運動やストレッチをする

適度な運動は、ストレス解消のための気分転換にも良いものです。ウォーキング、水泳など自分に合った運動を無理なく続けるように心がけましょう。

とり過ぎるタイプ

比較的体力があるので、アクティブに動くことを習慣にするのが良いでしょう。たとえば通勤で長めの距離を歩いたり、駅の階段を利用したりと、毎日体を動かすことが大切です。

溜め込むタイプ

代謝が悪いために、エネルギー不足になりがち。エネルギーを消耗するような激しい運動よりも、ストレッチやヨガなどで筋肉を伸ばしたりほぐしたりすることで、血行を良くし、じっくり代謝を高めましょう。このタイプは下半身に脂肪がつきやすいので、スクワットなど太ももやふくらはぎの筋肉を鍛えるといいですよ。

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太らない食べ方をする

太らない食べ方の基本は、過食や間食などによる過剰なカロリー摂取を避けること。食養生の考え方では「食事は野菜や果物、玄米などの穀物、自然発酵食、豆類などの摂取量を増やし、砂糖や動物性脂肪の摂取量を減らす。腹八分目にして食べ過ぎない」ことが健康によいとされています。日頃からバランスのとれた食事内容で、規則正しい食事を摂りましょう。

とり過ぎるタイプ

カロリーの高い、ご飯やパンなどの炭水化物、甘いものを食べ過ぎないようにしましょう。
たとえば、カロリーを摂取し過ぎないように、食べる順番は野菜や汁物からにして、次に肉や魚などのおかず、ごはんやパンはあとで食べるようにしてみましょう。また、辛い物や味の濃い物は食欲を増進してしまうので、味付けはあっさりめがおすすめ。ゆっくりよく噛んで食べることでも満腹感が得られやすくなります。

溜め込むタイプ

バランス良く3食をきちんと食べ、消化を良くする食事を心がけましょう。
厚生労働省も、「栄養3・3運動」という運動をすすめており、1日に必要な栄養素を摂取するには1日3食を理想としています。エネルギー代謝アップのために、必要な栄養素をちゃんと摂取し、とくにたんぱく質を欠かさないようにしてください。少量でもしっかりと摂るのがコツ。たとえば、間違ったダイエット方法で、ひとつのものだけを食べ続けたり、食事の代わりに甘い物だけを食べたりするのは、栄養バランスが偏るためおすすめできません。

温活のポイント

冷えると太りやすい

冷え症は、エネルギー代謝の低下や血行不良を招き、肥満の原因のひとつになります。冷えない体をつくるためには、筋肉をつけることがポイント。血液は心臓から送り出され、全身をめぐりますが、体には重力がはたらいているので、心臓の力だけで送り出した血液を戻すのは大変です。筋肉は収縮や弛緩を繰り返すことでポンプの役割をし、血液のめぐりを助けることができます。筋肉には細い血管が通っているので、筋肉量が増えると、血流量も増え、動かすことでさらに血のめぐりがよくなり、体が温まります。

冷えの原因になることを避けることも温活のポイントです。次の5つの「しない」を心がけましょう。

①シャワーだけで済まさない

「時間がないから」といってお風呂につからないで、シャワーだけで済ませるのはNG。冷えないようにするには、基本の入浴法で体を温める習慣をつけてください。38~40℃のぬるめのお湯に10分以上、できれば30分程度つかりましょう。

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②長時間の同じ姿勢を続けない

長時間同じ姿勢でいると、筋肉があまり動かされず、血液循環が悪くなります。とくに足は、心臓から最も遠い位置にあり、血行不良になると、冷えやすくなるのです。

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③気温差がある季節に薄着をしない

朝晩の気温差が激しい季節の変わり目。春先や初冬では一日の最高気温と最低気温に10℃以上の差がある日が何日もあります。こんな日に薄着で出かけたら、思いのほか寒くて体が冷えてしまうことも。ストール、カーディガン、ジャケット、靴下、カイロ、温かい飲み物など、気温差を念頭においた防寒対策が必要です。

④睡眠不足にならない

ストレッチ、ホットドリンク、入浴などで血行を良くし、体を温めることで、寝つきが良くなる場合があります。また、心配ごとが気になっているときは気持ちをうまくリセットしたり、イライラがあるときは気分転換に運動をしたりするなど、眠るためのセルフケアも大切です。

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⑤ストレスをためない

血流は自律神経によって調節されていますが、体に何らかのストレスがかかると、交感神経が緊張し、末梢血管が収縮して血行不良となり、冷えの症状が起こりやすくなります。ストレスをためないコツは、上手に気分転換し、自分なりの解消法を見つけることです。また、イライラしたり落ち込んだりするときは、深呼吸をするなど気持ちを切り替えて、ストレスになりそうな状況をうまく避けていきましょう。

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動いてエネルギーを消費する

脂肪を減らし、筋肉が増えると代謝が上がり、熱を産生するので、体が温まります。冷えにくい体をつくるためには、最初から負荷のかかる運動を行うのではなく、日常の中で行える筋トレをプラスしたり、少し遠くまでウォーキングをしたりと、大きな筋肉のある下半身を意識しながら、できる範囲で無理せず続けるようにしましょう。

肥満症におすすめの漢方薬

防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)

水太りやとくに下半身にむくみがある場合に

効能・効果

体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)

こんな漢方薬です

この漢方薬には、体内の余分な「水」を体外に排出させたり、体内の「水」のバランスを調整したりするはたらきがあります。色白で筋肉がやわらかい、いわゆる水太りタイプの方に適しています。疲れやすく、汗をかきやすい、足がむくみやすいといった人におすすめです。

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

お通じが悪い脂肪太りに

効能・効果

体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症

こんな漢方薬です

体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症

こんな漢方薬です

この漢方薬は、便通を良くしたり、脂肪の代謝を高めたりすることで、肥満症の薬として知られています。体力があって、暴飲暴食など、食べ過ぎが原因で、おなか周りの脂肪がとくに気になる人、便秘がちな人に向いています。

大柴胡湯(ダイサイコトウ)

ストレスを感じる肥満ぎみの方に

効能・効果

体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症

こんな漢方薬です

体格がよく、体力もあってわき腹からみぞおちにかけて苦しい人におすすめの漢方薬です。また、ストレスなどが原因で食べ過ぎてしまう人、便秘がちな人に向いています。

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