春なのに冷える! 冷え症の原因と対策

春なのに冷える! 冷え症の原因と対策

漢方では、季節に合った過ごし方を大切にします。春は緑が芽吹き、いろんなものが目覚めるとき。こんな気持ちの良い季節なのに、不調を感じることはありませんか? それは、人間の体も同様に、新陳代謝が活発になり、生まれ変わろうとするため、冬の間、体の中に潜んでいた悪い部分が表に出ようとするからなのです。

体の中に留まっていた「気」をすみずみまでめぐらせて

漢方では、春は気持ちを不安定にする季節と考えます。冷え症(冷え性)さんのなかには、一日の気温の変化などから体温調節がうまくいかずに、自律神経が乱れてホルモンバランスも乱れがちになる人もいることでしょう。

それに加え、春は入学、就職、異動など環境の変化も多い時期。この変化がストレスとなって、自律神経のバランスを乱してしまうことにもなりかねません。ストレスは「気」と直結し、強いストレスは「気」のめぐりを滞らせてしまいます。「気」を体のすみずみまでめぐらせるために、できるだけ体を動かすことが大切です。

ウォーキング イメージ

また、美容の面からいうと、春に吹き出物や湿疹などの肌荒れが起こりやすいという人も多いようです。春先は「気」が上にのぼりやすく、上半身に不調が現れやすくなるといわれています。このとき意識したいのは、下半身を温めること。春になって日中は暖かくても地面はまだ冷たく、足下も冷えやすくなります。気を巡らすために、下半身の冷えには十分注意しましょう。

生まれ変わりの「春」をどう過ごすかが一年の体調を左右する

春の過ごし方のポイントは、冬の間に留まっていた「気」を体中にめぐらせること。春の養生は、食事や気分転換で行いましょう。

ストレスをためやすい環境にある人は、旬の食べ物を積極的にとることをおすすめします。たとえば、かいわれ大根、山菜、タケノコなど、芽吹くエネルギーをもっているもの。旬のものは、春の不調を防いだり、改善したりするはたらきがあるとされています。

かいわれ大根、山菜、タケノコ イメージ

また、漢方では、食べ物を甘い、辛い、苦い、酸っぱい、塩辛いといった「五味」に分類し、それぞれ季節に応じたはたらきがあると考えられています。春はレモン、酢、梅などの「酸っぱい」もの。ストレスを感じるときは、酸味のあるものをとるようにしましょう。

やる気がない、だるさを感じるなど、気持ちがふさいでいるときは、「気」のめぐりを妨げないように、香りで気分をリラックスさせたり、ストレッチを行ったり、ひと息ついて深呼吸したり、上手にストレスを解消してください。

季節の養生は、不調が現れる一つ前の季節がカギを握るといわれています。スタートの時期となる春の過ごし方を見直せば、夏の気温や湿度の変化にも順応できる準備が整えられます。