冷え症タイプから自分に合った漢方薬を見つけよう!

冷え症タイプから自分に合った漢方薬を見つけよう!

冷えは、熱を作り出すはたらきや、全身に熱をめぐらせるはたらきが悪くなって起こっていると考えられています。漢方薬はこうした症状の改善を得意としています。今回は、冷えに効果のある漢方薬をご紹介します。

目次

冷え症[冷え性]と気・血・水の関係

漢方でいう健康とは、心身ともにバランスがとれている状態のこと。不規則な生活やストレス、食生活の乱れなどによって、体のバランスが崩れ、不調につながった場合、ライフスタイルを見直しながら、漢方薬で体調を整えます。

漢方薬を使うときには、まず体質を見極めることから行います。不調の原因は、一人ひとりの体質によって違うため、体質を知るために、自覚症状だけでなく、生活習慣などもチェックして、対処法を考えていきます。

「き」「けつ」「すい」 イメージイラスト

体を知るために不可欠な3つの要素が「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」。このうちのどれかが不足していたり、過剰だったり、滞っていたりするとさまざまな不調が現れます。まずは、この「気」「血」「水」という考え方で、冷え症(冷え性)をご説明します。

気(き):体をめぐっているエネルギーを表します。気が十分ではない「気虚(ききょ)」という状態、気が体をうまくめぐっていない「気滞(きたい)」という状態、上から下へ向かうべき気が逆流して上半身に集まっている「気逆(きぎゃく)」という状態の3種類があります。
血(けつ):血液や血液によって運ばれる栄養素、熱を表します。血が十分ではない「血虚(けっきょ)」という状態と、血が体をうまくめぐっていない「瘀血(おけつ)」という状態の2種類があります。
水(すい):体内の液体のうち、「血」を除いたもののこと。水が体をうまくめぐっていない「水毒(すいどく)」という状態があります。

「気」と「血」は、体を温める性質があり、「水」は体を冷やす性質があります。

冷え症[冷え性]の治療方法はタイプによって異なる

同じ冷え症(冷え性)といっても、冷えのタイプや症状は異なり、改善方法もさまざまです。冷えのタイプには、次の5つが考えられます。

  • 全身が冷えるタイプ「全身型」
  • 手足が冷えるタイプ「四肢末端型」
  • 上半身は熱いが下半身が冷えるタイプ「上熱下寒型」
  • ストレスで冷えるタイプ「体感異常型」
  • 各部位の症状に冷えがかかわるタイプ「症候型」

ご自身の冷えの症状が、次のどのタイプにあてはまるかを確認し、自分に合った漢方薬を見つけてください。ここからは漢方薬の選び方をご紹介します。

冷え症[冷え性]タイプごとの対策とおすすめの漢方薬

全身が冷えるタイプ「全身型」

体内の熱生産が低下し、新陳代謝が低下。その結果、全身が冷えるタイプ。食欲や気力が失われ、疲労感や倦怠感が生じます。長年の冷えにより、手足も内臓も冷えています。

全身型のイラスト

生活改善のポイント

  • 睡眠を十分にとり、休息する
  • 軽めの有酸素運動、ウォーキングからスタート
  • 腹巻き、レッグウォーマー、スカーフは必須
  • 冷飲・冷食を避け、温かく消化の良いものを腹八分目で食べる
  • バランスの良い和食がおすすめ。雑穀、イモ、キノコ、たんぱく質(魚・肉)も忘れずに
  • ショウガ、ネギなどの陽性(体を温める性質)食品を積極的にとる

漢方薬

  • 手足が冷えやすい人の食欲不振には「六君子湯(リックンシトウ)」
  • おなかが冷えて痛む人の腹部膨満感には「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」

など

「六君子湯(リックンシトウ)」ってどんな漢方薬?

手足が冷えやすい人の食欲不振に

効能・効果

体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:
胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

こんな漢方薬です

冷えやすく、みぞおちのつかえ、全身倦怠感のある人の食欲不振、胃痛、嘔吐などにおすすめです。胃腸のはたらきを良くし、胃腸の「水」の停滞を改善します。

手足が冷えるタイプ「四肢末端型」

手足の先まで血液が循環しないことから、手足に冷えを感じるタイプ。10~20代女性に最も多く、疲労や無理なダイエットが背景にある可能性があります。しもやけや立ちくらみ、ニキビ、月経トラブルが起こりがちです。筋肉量も低下しています。

四肢末端型のイラスト

生活改善のポイント

  • ウォーキングや筋トレを頑張る
  • 湯船につかる。足湯や手浴もおすすめ
  • 夜更かしはしないようにする
  • スマホで目を酷使しないよう注意
  • プルーン、ナツメ、クコの実などのドライフルーツ、黒豆、黒ゴマ、ひじきなどの黒い食材がおすすめ

漢方薬

  • 足腰の冷え症に「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」
  • 「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)」

など

「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」ってどんな漢方薬?

足腰の冷え症(冷え性)に

効能・効果

体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り

こんな漢方薬です

「血」の不足を補い、流れを良くし、体内の水分の偏りを調整することで体を温めるのが「当帰芍薬散」。やせ気味で体力のない人の足腰の冷え症などを改善します。

上半身は熱いが下半身が冷えるタイプ「上熱下寒型」

気や血のめぐりが悪く、滞った状態で上半身がのぼせて、下半身が冷えるタイプ。顔のほてりで冷えとは気づきにくいため注意が必要です。イライラ、頭痛、顔のほてり、肩こり、肌荒れのほか、月経トラブルや便秘が起こることもあります。

上熱下寒型のイラスト

生活改善のポイント

  • 気を静めるために深呼吸
  • 足湯、下半身浴で下半身を温める。岩盤浴もおすすめ
  • スクワットなどで下半身の筋肉を強化する
  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • ゆるめの服を着る
  • 口が渇いたり顔が熱くても、水分のとり過ぎやきつい冷房に注意
  • 冷飲・冷食、甘いもの、高脂肪のものを控える
  • 青魚、野菜、酢などがおすすめ

漢方薬

  • 足が冷えてのぼせる人の月経痛(生理痛のこと)に「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」

など

「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」ってどんな漢方薬?

足が冷えてのぼせる人の月経痛(生理痛)に

効能・効果

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症: 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症注)、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
注)血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。

こんな漢方薬です

「気」や「血」のめぐりが悪く、滞った状態で上半身がのぼせて、下半身が冷える場合におすすめの漢方薬。のぼせと冷えが同時に起こるのは、「血」の流れが滞り、体内で熱がこもってしまうからだと考えられています。熱は上へのぼるため、顔はのぼせやすいのに足が冷えるといった状態になります。「桂枝茯苓丸」は、そのような方の症状の改善に適しています。

ストレスで冷えるタイプ「体感異常型」

ストレスで自律神経に影響が出て、血流が悪くなり冷えを感じるタイプ。疲れているのに眠れない、集中力がなくイライラする、食欲不振、胃痛、息が吐きづらいなどの症状が見られます。

体感異常型のイラスト

生活改善のポイント

  • 気分転換し、ストレスをためないことが大切
  • 吐く息を長くする深呼吸を
  • 短時間でも自分の時間を持つ
  • パソコン、スマホの長時間使用を避ける
  • ヨガや太極拳、ストレッチなどのゆっくりとした運動を
  • 長めの入浴、アロマなどでリラックスを心がける
  • 香りの高いレモンやシソ、ミョウガ、ミント、香草は効果的

漢方薬

  • イライラする人の冷え症や不眠症に「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」

など

「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」ってどんな漢方薬?

イライラする人の冷え症に

効能・効果

体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症注)、不眠症
注)血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。

こんな漢方薬です

ストレスで自律神経に影響が出て、血流が悪くなり冷えを感じる場合におすすめの漢方薬です。のぼせがあり、実際に体に触れても冷たくないのに、本人は冷えを感じているのは、「気」の流れが悪く、「血」や「水」まで影響を及ぼしているからだ考えられています。「気」の流れに異常があると、熱が体内で偏り、偏った熱は上のほうへのぼり、イライラや不安、ほてりなどの症状を引き起こします「加味逍遙散」は、悪くなった「気」の流れを良くして、のぼせや不安などがある人の冷え症を改善します。

各部位の症状に冷えがかかわるタイプ「症候型」

頭痛や腰痛、肩こり、アレルギーなどの具体的な症状があり、それらの不調の裏に冷えがかかわっているタイプ。

症候型のイラスト

生活改善のポイント

  • 腹部やみぞおちを腹巻きやカイロで温める
  • 温かい食べ物をとる
  • 冷飲・冷食を避ける

漢方薬

それぞれの症状にあった漢方薬が用いられます。

  • 手足が冷える人の頭痛や頭痛に伴う吐き気には「呉茱萸湯(ゴシュユトウ)」

など

監修:岡村麻子先生
(つくばセントラル病院 産婦人科 部長)

東邦大学薬学部 客員講師
日本産科婦人科学会 専門医・指導医
日本女性医学学会 専門医・指導医
日本東洋医学会 漢方専門医・指導医)

漢方に関するよくある質問

漢方薬についてよくある質問です。

ドラッグストアと漢方専門の薬局とで、漢方薬に違いはありますか?

一般的に、ドラッグストアと漢方薬局で扱っている漢方薬は、どちらも、医師の処方箋を必要としない一般用医薬品の漢方薬です。漢方薬局は、漢方を得意とする薬剤師がカウンセリングを行って、患者さんに合った漢方薬を選び販売する薬局です。ドラッグストアは西洋薬も漢方薬も取り扱うので、漢方専門の薬剤師は少なく、置いている漢方薬も限られています。ただ、ドラッグストアにも漢方に詳しい薬剤師や登録販売者がいますので、興味のある方は、相談してみるとよいでしょう。

「太りやすい」人は、漢方薬を飲むと効果がありますか?

検査によって具体的な病変を見つけ、その症状に効く治療薬を処方し、ピンポイントで症状を抑えていく西洋医学に対して、体がもつ本来のはたらきを良くすることで症状に対処していくのが漢方医学の考え方です。たとえば、冷え症に対しては、熱をつくったり、血行を良くしたりして体の機能改善を目的としているため、体つきや体質、生活習慣などから漢方薬を選びます。肥満に対しても、低下しているエネルギー代謝を正常に戻すことで、太りにくい体質へと改善します。

漢方薬が効かない場合はどうすればよいですか?

漢方薬は、体質や体力、症状の現れ方などご本人の状態で選ぶことができます。しかし、体質や症状に漢方薬が合っていない場合は、症状の改善に十分な効果が発揮されないことがあります。ほかの人と同じ症状であっても、体質や体力が違えば、効き目も異なります。漢方薬が効かないと感じた場合は、医師、薬剤師または登録販売者に相談し、自分に合った漢方薬を選びましょう。